日本超音波骨軟組織学会 第7回学術総会(全国大会)
東京ビッグサイトで開催
2007/09/09
 平成19年9月9日(日曜)東京ビッグサイト605−608会議室において、第7回目を迎えた学術総会(全国大会)が総勢171名の参加で盛大に開催されました。
【開会の辞】
 今年で第7回目の開催となった学術総会は、東日本支部副支部長で学会理事である佐藤和伸先生の開会挨拶で幕を開けました。
佐藤 和伸先生
【会長挨拶】
 引き続き中村辰三学会会長による挨拶があり、開催に尽力した本学会会員への感謝と、技術研鑽の必要性が述べられ、本学会の会員が運動器分野における超音波のエキスパートとして、評価が社会に広まって行くことを祈念するというお言葉がありました。
中村 辰三会長
【研究発表第1部】
 研究発表は第1部と第2部に分かれ、午前の第1部では、3名の方が研究発表をされまし た。

 初めに坂本明広先生による「踵立方関節捻挫の超音波観察―背側踵立方靭帯および二分靭帯へのアプローチ方法の検討」の発表がありました。足関節の解剖画像やランドマーク(目印)を用いた写真と超音波動画を取り入れた、わかりやすい発表をいただきました。また、実際に超音波観察装置SonoAce 8000EXのライブ映像をスクリーンに映し、踵立方関節を解説していただきました。
踵立方関節捻挫の超音波観察
―背側踵立方靭帯および二分靭帯へのアプローチ方法の検討」

坂本 明広先生
 続いては小川仁志先生より「エコーによる膝観察ルーチン」の発表がありました。膝蓋骨上包の長軸・短軸像や膝の側方観察の長軸・短軸像、膝窩の長軸・短軸像を、動画をふんだんに用いて解説していただきました。
「エコーによる膝観察ルーチン」

小川 仁志先生
 第1部最後は、坂本哲也先生より「柔道整復業界における超音波診断の利用」と題して、「柔整師に超音波診断は必要か?」というテーマで発表していただきました。「必要である」「不必要である」双方の意見を紹介された後、「第5中足骨骨折」、「突き指損傷による第4指末節骨骨折(槌指)」や「背側踵立方靭帯付着部での踵骨骨折」などの超音波症例画像を解説して頂きました。「手技を軽んじるのではなく、手技を大事にした上で、科学化(視覚化)した画像を用いることで、さらに伝統技術と契合できる」とのお言葉が印象的でした。
「柔道整復業界における超音波診断の利用」

坂本 哲也先生
【基調講演】
 早稲田大学スポーツ科学学術院スポーツ科学部大学院スポーツ科学研究科の川上泰雄教授より、「身体運動中の骨格筋のふるまい−超音波法による生体計測−」というテーマでご講演をいただきました。「超音波法による骨格筋収縮運動の生体計測」、「スポーツ科学研究における超音波診断法利用の展開」などを超音波画像やMRI画像、アキレス腱の解剖画像や症例データを用いて解説していただきました。講演後は、会場からの質問に一人一人に丁寧にお答えいただきました。
「身体運動中の骨格筋のふるまい−超音波法による生体計測−」

川上 泰雄 早稲田大学教授
【研究発表第2部】
 午後の研究発表第2部では4題の発表がありました。 まず荒畑勝一先生より、「水性堆積物を伴ったテニスレッグの筋骨格系超音波検査-その臨床所見と病態把握について−」の発表をいただきました。解剖画像や超音波による長軸動画・短軸動画などを用いて、テニスレッグを丁寧に解説していただきました。
「水性堆積物を伴ったテニスレッグの筋骨格系超音波検査-その臨床所見と病態把握について−」

荒畑 勝一先生
 続いて、山田直樹先生による「肩関節疾患における超音波エコーの有用性についての考察」の発表がありました。肩関節における患側・健側の比較動画を用いて解説していただき、まとめとして「MRIで異常所見の得られなかった症例で、超音波観察において所見が見られた」「傷病の説明をしたことで患者の理解で得られた」という事実を挙げられていました。
「肩関節疾患における超音波エコーの有用性についての考察」

山田 直樹先生
 その後は、佐藤和伸先生より「肩関節インピジメント障害における超音波観察」というテーマで発表があり、棘上筋腱を解剖図や超音波動画を用いて解説していただきました。
「肩関節インピジメント障害における超音波観察」

佐藤 和伸先生
 最後に奥村卓巳先生より、「競技者が有する分裂膝蓋骨のリスク管理における超音波観察の有用性」の発表がありました。分裂膝蓋骨の検査法を豊富な写真や超音波画像を用いて解説していただき、まとめとして「膝蓋骨のエコー描出は非常に容易であり、分裂膝蓋骨の描出は、その再現性も含め信頼度が高い」ことなどを挙げられていました。
「競技者が有する分裂膝蓋骨のリスク管理における超音波観察の有用性」

奥村 卓巳先生
【教育セミナー】
 10分間の休憩を挟んだ後、学会は教育セミナー初級編「上肢の部」へと移りました。講師である坂本哲也先生の解説に従い、会場内に設置された10台の超音波観察装置を使っての実技演習となり、参加者は各インストラクターの指導のもと、チェックシートに挙げられた課題を確実に演習されました。
教育セミナー「初級編」会場の様子
 ◎並行して601会議室においては、曽山良之輔先生、柳田雅彦先生を講師に迎え、入門編が開催されました。音響工学についての基礎知識や超音波観察における基礎知識・注意事項などが説かれ、時間をもっと取って必修としたいくらいの充実した内容が、早足で紹介されました。
教育セミナー「入門編」会場の様子
【優秀発表・表彰】
 教育セミナー終了後に、再度参加者全員が605-608会議室へと集まり、優秀発表の表彰が行われました。会長賞には奥村卓巳先生発表の「競技者が有する分裂膝蓋骨における超音波観察の有用性」、大会賞には坂本明広先生発表の「踵立方関節捻挫の超音波観察―背側踵立方靭帯および二分靭帯へのアプローチ方法の検討」が選出され、竹市勝学会理事・諮問委員から表彰状が授与されました。
会長賞:奥村卓巳先生
「競技者が有する分裂膝蓋骨における超音波観察の有用性」
大会賞:坂本明広先生
「踵立方関節捻挫の超音波観察−
背側踵立方靭帯および二分靭帯へのアプローチ方法の検討」
【閉会の辞】
 竹市勝学会理事(国士舘大学准教授)より閉会の辞があり、今後の開催案内と積極的な参加が呼びかけられ、日本超音波骨軟組織学会 第7回学術総会は無事終了しました。
竹市 勝 学会諮問委員・理事