2008/5/18

 平成20年5月18日(日曜)、東京ビッグサイト605-608会議室において、日本超音波骨軟組織学会 第5回定時総会、記念基調講演/教育セミナーが、総勢165名の参加で盛大に開催されました。


【会長挨拶】
 中村辰三学会会長より800名を超える会員への感謝が述べられ、本学会の編集で「入門 運動器の超音波観察法」 (医歯薬出版)が発刊されたことの紹介と、本学会が運動器系専門家集団であることや超音波の特徴を生かして治療に役立てられることを祈念するというお言葉がありました。

中村 辰三学会会長

【記念基調講演】
 早稲田大学スポーツ科学学術院(スポーツ科学部・大学院スポーツ科学研究科)の川上泰雄教授より、「身体運動中の筋線維動態― 直列弾性要素との相互作用及び筋活動に着目して ―」というテーマでご講演をいただきました。川上先生は筋・腱の形態的・機能的特性の観点から、生体機能・運動機能とその制御方法に関する研究をされており、先日NHKのテレビ番組にも出演して紹介した陸上100m走の王者パウエルの測定結果なども引き合いに、筋収縮の要素、画像解析の研究結果などを、様々な運動の学生選手の測定データを用いて解説していただきました。

川上 泰雄先生

【研究発表】
  大阪から来られた 清水俊正先生からは、「柔道整復師の新しい戦力となりえる最新医療」というテーマで発表がありました。超音波骨折治療器「オステオトロンV」による臨床効果とその応用について、超音波画像やレントゲン画像、MRI画像を豊富に用いて発表していただきました。

清水 俊正先生

【教育セミナー・初級編】
 昼食休憩、定時総会を挟んだ午後からは、初級編と入門編に分かれた教育セミナーの部へと移りました。

 初級編では「下肢」をテーマに、講師である坂本哲也先生よりご講義いただきました。超音波検査法の他の画像診断にないメリットとして、「被爆がなく安全、高い解像度、動的観察が可能」を挙げていただき、股関節観察の基本操作や大腿骨頸部骨折、大腿直筋肉離れ、内側側靭帯損傷、変形性膝関節症、膝関節水腫などの症例を解説していただきました。
 その後は実際にモデルを使っての実技紹介となり、会場内に設置された3つの巨大スクリーンの真中にプローブワークのリアルタイム映像が、左右のスクリーンには超音波画像や解剖画像が映し出された大変解りやすいプレゼンとなりました。

 プレゼンの終了後は、会場内に設置された9台の超音波を使っての実技演習となり、それぞれに配置されたインストラクターの指導のもと、参加者全員がチェクシートに記載された演習課題「膝蓋靭帯(脛骨粗面)」「アキレス腱(踵骨隆起)」「第3趾MPj(背側部)」に従って、講習内容を確実に演習されました。
【教育セミナー・入門編】
 並行して隣の601会議室では、入門編が開催されました。曽山良之輔先生、柳田雅彦先生を講師にお迎えし、超音波診断装置を安全に使用するために必要な音響工学等の基礎知識と、四肢を描出するために必要な操作手順などを解説していただきました。超音波を使用したことがない方はもとより、すでに使用されている方にとっても知識の再確認ができる大変有意義なセミナーとなりました。

曽山 良之輔先生     柳田 雅彦先生


【閉会の辞】
 最後に竹市勝先生より、今後の開催案内と中級編へのステップアップが呼びかけられ、盛大な拍手に包まれて定時総会記念 基調講演/教育セミナーは終了しました。

竹市 勝先生