(JSBM)日本超音波骨軟組織学会 西日本支部
2009/11/10 更新
平成21年10月25日(日)、東京福祉大学・大学院名古屋駅前キャンパス3階講堂において、第19回 西日本支部中部分科会が総勢58名の参加者を迎えて開催されました。

【開会の辞】
 分科会は西日本支部支部長に就任した、山田直樹学会理事の挨拶で幕を開けました。超音波の有用性や、本日の参加を皆さんの研鑽の場として役立てて欲しいことなどが話されました。
田沼 和 事務局理事

山田 直樹学会理事

【基調講演の部】
 古東整形外科・内科院長の古東 司朗先生より、「足のスポーツ障害 前足、中足部の障害」というテーマでご講演いただきました。
 始めに診療所のご紹介をいただき、超音波検査室などの写真も披露していただきました。検査結果を患者さんへ、ビジュアルに説明できることなどを話されました。

 講演では「足の診断においては圧痛点が重要な手がかりとなり、圧痛部位の解剖を理解することが重要」と話され、中足骨疲労骨折についてレントゲン画像やMRI画像、解剖画像を用いて解説していただきました。

 さらに母趾MPj側副腎帯損傷、前足根管症候群、長母趾および総趾伸筋腱腱鞘炎などを、手術時の写真や超音波の画像を用いて解説していただきました。

 まとめとして、「足の痛みは、足の解剖学的特徴、スポーツ特性・練習量、靴の不具合・履き方など様々な原因によってもたらされる。 診断に際しては股関節、膝関節などと違い、局所所見を診るだけでは不十分。必ず靴を持参させて、痛みに関与しているか否かをチェックすることが大切」と話されていました。

 最後に会場からの質問を受け付け、実演していただく場面もありました。

 続いて、渡辺正哉先生より「足部安定機能を観察する Visualization to Ankle joint function 」というテーマでご講演いただきました。

 超音波を使って筋肉を動的に観察する様子や、筋電図を用いた歩行映像を紹介していただきました。さらに肩関節の腱板損傷を超音波画像とMRI画像を併用して解説していただき、また日本神経外科学会で発表されたマウスの実験結果の紹介もしていただきました。
座長:馬場 豊(佐賀県)

古東 司朗先生
古東整形外科・内科院長

座長:馬場 豊(佐賀県)

渡辺 正哉先生

質疑応答における実演の様子
質疑応答における実演の様子
【教育セミナー 入門編 第2章「上肢(健常例)」】
 金田晋先生が講師に就かれ、肩関節、肘関節について解説していただきました。
 肩関節、肘関節の超音波画像の描出方法や解剖学を、超音波画像と解剖画像を併用して解説されました。

 超音波を扱う上でのまとめとして「最初は骨から」「慣れたら筋、腱、軟部組織」「解剖の知識が大切」「健側、患側を比較すること」「画像診断より視診、触診、徒手検査を先に行うこと」を挙げていただきました。

※『入門編』は、本年度より全員参加の形となりました。このセミナーは、新たに使うすべての方に安全に正しく超音波診断装置を使っていただくために、また既に『初級編』を終えた参加者にも基礎知識の再確認として、或いは新人スタッフに教育指導を行うための基礎知識の確認といったことを目的としています。
基調講演の部司会: 川 和幸先生(宮崎県)

金田 晋先生

【教育セミナー 初級編「体幹」】
 講師は引き続き金田晋先生が担当され、超音波の仕組みや、超音波を読影する上で大切な解剖について解説していただきました。また超音波の特徴として「被爆がない、リアルタイム性、他の診断装置よりも安価で小型」であることを挙げられました。
 その後、「頚部」「胸部」「腰部」を超音波画像や解剖画像を駆使して解説していただき、実際にモデルを使っての実演も行われました。プローブワークの様子とリアルタイムな超音波の画像がスクリーンに映し出され、大変わかりやすい講演となりました。
 講演後は、会場内に設置された6台の超音波診断装置を使っての実技演習へと移りました。それぞれに配置されたインストラクターの指導のもとに、参加者全員が、チェックシートに記載された「頚椎 棘突起 / 椎弓」「腰椎 棘突起 / 椎弓」「肋骨」という各項目の正確な描出に取り組みました。
初級編
教育セミナーの部(初級編)の様子 教育セミナーの部(初級編)の様子 教育セミナーの部(初級編)の様子 教育セミナーの部(初級編)の様子
【閉会の辞】
 最後に金田晋学会理事より、ステップアップを目指した中級編への参加と、日本超音波骨軟組織学会編集の「入門 運動器の超音波観察法」(医歯薬出版)を購入しての学習が呼びかけられ、第19回中部分科会は終了しました。
田中 和夫 学会監事(福岡県)

金田 晋学会理事